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請求書の電子化って?

請求書の電子化とは、紙で作成していた請求書をデジタルデータに変換することです。また最初からパソコンやスマートフォンを用いて電子上で請求書を作成することもあります。電子化された請求書は、紙の請求書と区別するために「電子請求書」と呼ばれます。
電子化された請求書のファイルデータには、主にPDFが使用される傾向にあります。PDFが「実際に紙に印刷する状態をそのまま保存できるファイル形式」であるためです。一度PDF化されると簡単に改ざんできないことも、PDFが使用される理由として挙げられます。
請求書の電子化は法的に可能なの?

従来は紙のみで行われていた請求書のやり取りですが、働き方のデジタル化に伴って請求書をオンライン上でやり取りしている企業・個人が増えてきました。結論から言うと、請求書を電子化させることは法的に可能です。
要点は「請求者・受領者がお互いに請求書の内容を認識できているか」です。概要が具体的に明文化されていれば、メール・SNSのチャット機能・チャットツール・企業専用の請求書アップロードツール・請求書のやり取りができる外部ビジネスツールなど、あらゆるオンラインの方法で請求書のやり取りができます。
請求者は電子化の際に必要事項を記入し送信・添付・アップロードをするだけで構いませんが、受領者が請求書を電子化して保存するためには要件があることに注意しましょう。請求書の電子保存のためには、電子保存を開始する3ヵ月前までに所轄の税務署に承認申請書を提出する必要があります。
また請求書において最重要要素といえるのが、真実性です。電子化された請求書は、紙の請求書よりも内容を改ざんしやすいことが特徴です。社会的・法的な真実性を高めるためにも、受領者側は請求者側に電子印鑑やタイムスタンプなどの記載を求められる傾向にあります。
金額の内訳はもちろん、作成された日時に関する証明を高めることで真実性がさらに保障されるでしょう。さらに視認性や検索性なども兼ね備えている電子化された請求書は、税務調査をスムーズにします。その他、電子化した請求書の保存方法の詳細は国税庁のページを参考にしてください。
請求書を電子化するメリット

ここでは、請求書を電子化するメリットをご紹介します。多くの日本企業が業務のデジタル化に着手しており、請求書をはじめとする書類のデータ化もその一貫です。企業のペーパーレス化がもたらすさまざまなメリットを学んでみましょう。
印刷や発送などの作業負荷を軽減できる
請求書の電子化では、印刷や発送などの作業負担を軽減できることがメリットです。紙の請求書では、そもそも請求書の本体となる用紙を準備する必要がありますよね。常に在庫の状態を気にしないといけず、印刷や発送などの手間もかかります。
印刷した請求書と原本の両方を管理しなくてはならないのも紙の請求書特有の負担です。電子化を行うことで、請求書管理という日常業務の負担を下げられるのは大きなメリットといえます。従業員や管理場所のリソースが増え、企業の生産性アップにつながるでしょう。
請求書の管理や修正がスムーズになる
請求書の管理や修正がスムーズになることも請求書を電子化するメリットです。電子化された請求書は改ざんされやすいという注意点がありますが、捉え方を変えれば間違えた部分を修正しやすいという長所もあります。
紙の請求書では修正時に二重線や印鑑などを使いますが、修正箇所が多くなると視認性が悪くなり心理的な信用度も下がります。電子化された請求書であれば画面上ですぐに修正・変更できるため、作業に必要な時間や物的なコストを大幅に削減できるでしょう。またペーパーレス化では管理も楽になり、検索機能を使えば大量の請求書の中から短時間で欲しい書類を発見できます。
請求書発行にかかっていた経費を削減できる
一枚の請求書にかかるコストは微々たるものですが、毎月のように何十枚、何百枚と請求書が必要になると目に見えて経費を圧迫します。電子化では、請求書原本・紙・インク・光熱費・郵送コストなど、さまざまな経費を削減できることがメリットです。
また請求書の管理に必要だった人員リソースが減ることで、人件費も削減されます。特に今まで手作業で請求書の管理を行っていた企業は、管理の自動化や請求書のテンプレート化によって大幅にコストを削減できるでしょう。
電子請求書を受領するメリットもある?

ここでは電子請求書を受領する側のメリットをご紹介します。請求者側と比べて受領者側には危惧するべき点が増える印象があるかもしれませんが、一括管理のしやすい電子請求書は経理の負担を軽減し、業務に余裕をもたらすものです。
受領がスピーディーに進む
個人間のやり取りとは違い、企業における請求書の受領には多くの工数が発生します。電子請求書では受領に関するさまざまなプロセスが簡略化されることで、業務フローの大きな改善が見込まれるでしょう。
電子請求書は活字により作成されるため、請求者の書体による認識の違いが生まれません。受領者側の読み取りミスがなくなり、トラブルの可能性を未然に防ぎます。書面の確認のためのコミュニケーションコストも削減されることで、よりスピーディーなフローが組めるようになるでしょう。
請求書の管理が容易になる
受領者側で請求書の管理が容易になることでケアレスミスを防ぎます。例えば「去年の3月に東京のどこかの店で買った家具の領収書を出してほしい」と言われた場合、紙の請求書だと探すのが大変ですよね。まず去年の3月の請求書ファイルを出し、その中から住所が東京のものを探し……と大きな手間が発生してしまいます。
電子請求書であれば、請求書管理ツールの検索機能で「東京 家具」などのように調べれば簡単に見つけられます。電子で保存する以上セキュリティ対策の必要がありますが、電子化が与えてくれる利便性には代えられないといえるでしょう。