目次
従業員のスキルを、ビジネスに最大限活かしたい

業務効率化や生産性アップのためには、既存以外の方法でシステムや働き方を改善・創造することが必要です。その工程では、企業が所有している資産を有効に活用することが求められます。
数ある企業資産のうち、ローコストで業務を改善できる要素が「従業員の知識・情報」です。実際の業務で活用しているノウハウの中で、マニュアルやレギュレーションとして可視化されていない要素を洗い出すことから始めましょう。
今回は、従業員のポテンシャルを企業に最大限反映させるために必要なナレッジマネジメントについてご紹介します。幅広いナレッジ(知識・情報)を共有し、新しいビジネスモデルやサービスの創造につなげていきましょう。
ナレッジマネジメントの意味とは

ナレッジマネジメントとは、複数の人たちが持っている異なる知識を共有して活用し、新しい知識を創造していく経営理論です。知識を創造する過程で実践し、リアルタイムでビジネスに踏襲していく工程も含まれます。
ナレッジマネジメントは、主に以下の4つのプロセスから成り立ちます。
- 共同化(Socialization)……複数人の共通の体験をもとに、言葉や数字で表しにくい技術に共感し合い、共有する。
- 表出化(Externalization)……言葉や数字で表しにくい技術を、実際にテキストや図形で可視化させる。
- 連結化(Combination)……新しく可視化させた技術や知識を、既存のものと結合させる。
- 内面化(Internalization)……新規と既存の技術や知識を結合させ、新しい技術やノウハウを創造する。
ナレッジマネジメントは、上記のサイクルを繰り返しながら今までになかった知識・技術・ノウハウ・ひらめきを生み出していく日本発祥の経営の形です。
ナレッジマネジメントの考え方と注目されている背景

ナレッジマネジメント発展の背景には、欧米を中心としたデジタルシステムの導入があります。他者との情報共有の観点とデジタル技術は、相互作用を高めながら発展していきました。情報技術の領域は現在も日々発展している最中であり、ナレッジマネジメントにも比例した発展が期待されています。
ナレッジマネジメントが日本で注目が集まったのは1990年代で、インターネットの爆発的な普及や通信環境の整備などが関連しているといわれています。現在は従業員のダイバーシティ化が進んだことも影響し、世界の多国籍企業の約80%がナレッジマネジメントの経営方針やプロジェクトを導入済みです。
また昨今ナレッジマネジメントが注目されている背景には、伝統的な日本企業の労働スタイルの崩壊が挙げられるでしょう。現代では終身雇用制度が絶対的なものではなくなり、働き方が変化し続けています。暗黙の内に受けつがれてきた知識を明文化することで、新たな価値を生み出し続けることがビジネスの維持・成功につながると考えられます。
ナレッジマネジメントを行う主なメリット

ナレッジマネジメントを行う主なメリットは以下の3つです。
- 業務の効率化
- 人材育成の効率化
- 顧客マネジメントの向上
同じ企業に勤めているとはいえ、従業員には一人ひとり技術やノウハウにバラつきがあります。ナレッジマネジメントでは従業員同士の知識を共有するため、知識やスキルの均一化が見込めます。また能力のレベルが収束することで、トラブル時やイレギュラー発生時に課題が明確になるうえ、迅速に問題解決できるでしょう。
さらにナレッジマネジメントでは人材育成を効率化することができます。なぜなら新入社員に知識やスキルを教える際、教育係によって教え方が異なる事態を避けられるからです。知識が可視化されデータとして統一されていることで、育成のコストカットにもつながります。
また顧客のニーズを把握しやすくなることもナレッジマネジメントのメリットです。ナレッジマネジメントで収集・統合される情報には顧客データも含まれているため、幅広い部署が最新の顧客の心理やニーズを取り入れやすくなります。