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タスク管理術「GTD」とは?

GTDとは「Getting Things Done」の略称で、仕事を効率的に成し遂げるためにタスクやプロジェクトを管理するシステムを指します。GTDはプロセスやシステムを表す言葉であり、特定のツールを指す言葉ではありません。
とはいえGTDを行うためのツールも展開されており、個人や企業に合った方法でGTDを取り入れることで仕事の効率や生産性が上がります。仕事ではマルチタスクが求められるシーンも多いからこそ、GTDを上手に活用して頭の中やスケジュールを整理することが大切です。
今回はGTDのメリットや注意点、実際にGTDをビジネスに取り入れる際の方法などをご紹介します。どんなに優秀な人でも、人間である限りケアレスミスの可能性は捨てきれません。GTDを活用し、目の前の仕事にミスなく全力投球できる環境をつくっていきましょう。
GTDを取り入れる5つのメリット

ここでは、GTDを取り入れるメリットを5つご紹介します。GTDの仕組みはビジネスの成果を高めるだけではなく、仕事とプライベートの両立を後押しします。GTDのメリットを学び、自分に合った実践方法を考えていきましょう。
1. 混乱したタスクを整理できる
GTDを導入することで、頭の中で複数抱えて混乱したタスクを整理できます。例えば「今すぐにやらなければならないこと」や「後でやればいいこと」「〇日までにやっておきたいこと」などが混在している場合、どのタスクから優先的に着手するべきかがわからずに混乱してしまうことがあります。
結果的に重要なタスクを見落としてしまったり、期日を勘違いしたりなどでトラブルを招く可能性があるでしょう。GTDとはタスクを整理して効率的に行うための手法であるため、自分が今何をするべきかをわかりやすくまとめられます。
2. 集中力や行動力の向上が期待できる
GTDを取り入れることで、集中力や行動力の向上が期待できます。GTDではタスクを整理して優先順位をつけていくため、「やるべきことが沢山あるのにどれから手をつけていいかわからない」という状態を回避できるのです。
頭の中にやるべきタスクが多く思い浮かんでいると、本来集中するべき物事への意識が低くなり、注意力が散漫になりがちです。GTDによって「今はこれをやるべき」という意識を持てることで、最大限のパフォーマンスを発揮できるでしょう。
3. 仕事だけでなくプライベートでも活用できる
GTDが役立つシーンはビジネスだけではありません。タスクの整理と管理はプライベートでも活用でき、人間関係を円滑にしたり自分らしい生活を送ったりするために役立ちます。例えば家事では、掃除・洗濯・洗い物・買い出しなどさまざまなタスクがありますよね。
一日という限られた時間の中で「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と焦っていると、ストレスがたまる上に混乱して非効率的な行動を取りがちです。GTDを取り入れることで自分の中で規則的なタスク管理ができるようになり、納得感や充実感のある生活を送れます。
4. 生産性が高まる
GTDを用いてタスク管理を進めると、生産性が高まるというメリットがあります。仕事において生産性が低くなる原因はいくつかありますが、中でも挙げられるのが「やるべきことが多く物事に集中できないこと」です。優先するべき事項を取り違えており、一生懸命働いているのになかなか結果が出ないという事態もあり得ます。
GTDでは物事の重要度を仕分けし、最終的に生産性を高められる順序でスケジュールを組んでいきます。スケジューリングの時点で期限も決定するため、納期で焦る確率も下げられるでしょう。心理的な安心感が高まることで、さらに生産性は安定します。
5. 精神的なストレスを軽減できる
GTDではタスクやスケジュールを整理することで精神的なストレスを軽減できます。やるべきことが常に複数ある状態は心の負担となり、プレッシャーやストレスにつながります。視野が狭くなり、ささいなことでイライラしやすくなってしまうこともあるでしょう。
目の前のタスクに手を付けながら「次は〇〇をしなければ」と考えているため、いつまでも精神的に休まりません。GTDを用いれば安心してタスクに没頭でき、効率を重視しながら働けます。常にタスクやスケジュールに道しるべがある状態で行動に移せるのです。
GTDがおすすめなのはどんな人?

ここでは、GTDを特におすすめしたい人の特徴をご紹介します。GTDはあらゆるビジネスシーンやライフシーンに活用できますが、中でも現在の自分の働き方を改善したいと思っている人におすすめです。GTDを取り入れ、効率的に働いていきましょう。
常にタスクであふれている人
GTDは常にタスクであふれている人におすすめです。能力が高い人や面倒見がいい人は、周りから次々とタスクを頼まれがちです。また他者にNOの意思を表示することが苦手な人も、人一倍タスクを抱えやすいといえます。
抱えすぎてしまったタスクに慌てる前に、GTDを用いて自分がどのようなタスクを抱えているのかを視覚化して整理しましょう。GTDを使うことで現実的なタスク処理の順序を決められ、慌てずに一つひとつ目の前のタスクに集中できます。
タスクの抜け漏れが多い人
タスクの抜け漏れが多い人にもGTDが推奨されます。特に、仕事へのモチベーションが高いにもかかわらずタスク処理が苦手で思うように結果が出せない人は、GTDを導入してみましょう。タスク忘れによるケアレスミスが減ることで、より自分らしい働き方を叶えられます。
タスクの抜け漏れが続くと自己評価が下がり、委縮した結果本来のパフォーマンスを発揮できないことがあります。まずは自身の成功体験を増やして自己評価を取り戻すために、GTDによるタスクの管理から始めてみましょう。
タスク管理や自己管理が苦手な人
タスク管理や自己管理が苦手な人にも、GTDが推奨されています。仕事で優秀な結果を残すためにはいくつかの要素が必要です。もちろん一つの能力が非常に突出した人であればそれを武器に戦えますが、世の中の多くの人は基本的に凡庸なものです。
だからこそ、GTDのような手法を取り入れて自らの能力を引き出していきましょう。仕事を成功に導くためには、抱えているタスクを管理する能力、もとい自己管理能力が必要です。限られたリソースを最大限活用するために、的確な現状把握を行いましょう。
GTDをはじめるための準備

GTDをはじめるために必要なものは、タスクを書き出すための道具のみです。つまり最もシンプルなGTDの手法であれば、紙とペンさえあれば始められます。またビジネスツールのタスク管理機能や、タスク管理に特化したツールの活用もおすすめです。
GTDに関する書籍も多数出版されているため、スムーズで効率的な活用のためにはぜひ取り入れてみましょう。紙を利用する際は、後から取り外して整理しやすくするためにファイリング可能なタイプを推奨します。デジタル機器を使う際は、スマートフォンやタブレットでも構いません。
GTDのやり方|5つのステップとは

ここでは、GTDの具体的なやり方をご紹介します。5つのステップに分けて解説するので、必要な要素を学びながら進めていきましょう。GTDを開始する際は1~3時間程度のまとまった時間をとれるタイミングをおすすめします。
1. 把握
まずは、現状自分が抱えているタスクの総量を整理・把握します。重要度の高さ・低さに捉われず、すべて書き出すことが大切です。例えば直近の納期のような緊急度が高いものから、思いついただけのアイデアまで幅広く記入しましょう。
タスクを丁寧に書き出すほどGTDとしての精度が高くなり、物事への優先度もつけやすくなります。GTDにおいて、この書き出しの作業が最も時間がかかり面倒さを感じるものです。リラックスできる環境をつくりながら、じっくり取り組んでみてください。
2. 見極め
タスクをリストアップしたら、重要度や緊急性が高いタスクを以下の4つに選定していきます。
- A:重要度も緊急性も高いもの
- B:重要度が低く緊急性が高いもの
- C:重要度は高いが緊急性は低いもの
- D:重要度も緊急性も低いもの
例えばクライアントからの案件で納期が直近まで迫っているものはA、キャリアアップのために取得しようと予定している資格勉強はC、いつかやろうと頭にふと浮かんだだけのアイデアはDなどが挙げられます。
3. 整理
A・B・C・Dに分けたタスクを、実際のスケジュールに当てはまるように整理していきます。基本的には緊急性が高いA・Cが前倒しになるように予定を組み、Dは時間や金銭面に余裕ができたときのみ行う行動に割り当てましょう。日々のルーチンワークはCに含まれます。
4. 更新
仕上がったGTDのリスト通りに実行し、途中で増えたタスクや終わったタスクはリストから削除していきます。新しいタスクの種分けは最初と同じように優先度と緊急性で分けていきましょう。柔軟な対応をするために、スケジューリングにはある程度の余裕を設けることも大切です。
5. 選択
上記1~4のステップは、自分の行動を選択するために存在しています。把握・見極め・整理は自分の行動力や直感を信じるために必要なパーツで、更新は中長期的に自分らしい選択をし続けるための行動です。常に合理的な判断を選択していくためにGTDのサイクルを回し続けていきましょう。