発達障害支援とプログラミング学習の可能性

発達障害支援とプログラミング学習の可能性
OVERVIEW

にじいろくれよん

奈良県にある児童発達支援・放課後等デイサービス。専門的な技法(Teacch、インリアルアプローチ、感覚統合など)を学んだスタッフがオーダーメイドの療育プランを立て、主として個別に療育を行っている。

(参照URL:https://nijiirocrayon.com/

目的    
GOAL
  • 発達障害を抱えた子どもたちが今後の人生の選択肢を知るため、スキルを得るためのプログラミング学習
課題    
ISSUE
  • Scratchなどのビジュアルプログラミングでは物足りなさを感じてしまっていた
結果    
RESULT
  • Progateを活用することで自己肯定感、非認知能力を上げることができた
にじいろくれよん
にじいろくれよん

奈良県にある児童発達支援・放課後等デイサービス。専門的な技法(Teacch、インリアルアプローチ、感覚統合など)を学んだスタッフがオーダーメイドの療育プランを立て、主として個別に療育を行っている。

(参照URL:https://nijiirocrayon.com/

「発達障害」と「児童発達支援」って?

Q. 発達障害と発達支援について教えてください。

発達障害というと難しく聞こえますが、脳の機能障害を指します。脳の機能障害に対して知識を持ったスタッフが支援を行うというのが僕たちの仕事です。

健常者の子供が何も教わっていなくてもできるようになることが、障害を持っていると難しいケースがあります。そういった時、「本人の頑張りが足りない」とか「親の努力が足りない」と言われてしまうんですね。でも、そうではない。脳の機能障害ですから、同じようにやろうとしてもできないだけなんです。

一足飛びにジャンプで上がろうが、階段で上がろうが、手段は違えど同じステージに立てばいいわけです。時間がかかるかもしれませんが、自分の力で階段を登れるようになることが必要です。こちらが彼らを持ち上げてあげることが支援ではない。階段を作ること、彼らそれぞれに仕組みを作ることが僕たちの仕事です。

発達障害を抱えた子は、臨機応変な対応が苦手です。思っていたのと違う、いつものルーティンと違う、ということがあるとパニックになってしまいます。たとえば、朝は歯磨きをするというルーティンがあったとして、歯磨き粉がないだけでパニックになってしまう子もいたりします。

彼らにとっては臨機応変な対応や空気を読むことはしんどいことなんです。そこの理解がないと、一生懸命やっていても周りには伝わらなくなってしまうんですよね。健常者から見ると当たり前にできることだから、何故できないのかわからなくて。

療育を受けることで、いろいろな道具を自分の中に装備しやすくなります。ただ、小学6年生くらいになると、もう装備してくれなくなってしまうんですよね。小学校高学年になると、ある程度自己が確立されていくので、なかなか道具が持てない。それで自分も周りもしんどい思いを抱えることが多くあります。大人になっても理解ができないことが多くて苦しんでいる人たちもいます。だからこそ、早期療育が必要なんです。3歳、4歳くらいの年齢だと当たり前のように装備してくれるようになって、将来的にも使いこなせるようになります。

できないことができるようになった!という瞬間が一番の喜びですね。僕たちもうれしい、子供もうれしい、親もうれしい。僕たちは少しでも彼らに道具を持たせてあげられるように支援しています。

プログラミングは感情やコミュニケーションでエラーが起きるわけではない。だからこそ、発達障害の子と親和性が高い。

Q. プログラミング学習も道具の一つなんでしょうか。プログラミングを取り入れている背景を教えてください。

プログラミングは発達障害、とくにASDの子と親和性が高いんですよ。完全な結果を求めて、突き詰めすぎたり、ミスをするとリセットしたくなるような子たちです。そういった子たちは曖昧な結果は理解しにくいし、許せない。

プログラミングには曖昧なことがほとんどありません。プログラミングのエラーには、必ずどこかに間違いがありますよね。そのエラーは感情やコミュニケーションの不足ではなくて、自分なりのコードを書いた結果だから、完全結果を求めるタイプの人にはすごく合っているんですよ。

障害を抱えた人が就労できる選択肢は想像以上に少なくて、清掃の仕事とか、将来的にはロボットに置き換わってしまうようなものが多い。

その中で、プログラミングは障害を抱えた人の特性が活かせる仕事です。そういう選択肢を知っておいてもらえるように、今から学んでいます。

Q. Progateを導入してくれている理由を教えてください。

Scratchやviscuitといったビジュアルプログラミングはゲームの要素も強くて、中学生以上では物足りなくなってしまうし、アルゴリズムを学ぶだけでは、将来的な就職には結びつきません。Progateは実際にコードを打ち込んでいくので、「大人がするようなことを自分もできている!」と自信にも結びつきます。

Progateは答えに行き着くまでに試行錯誤ができるのがいいですよね。Progateは何回も失敗させてくれます。プログラムを失敗しないエンジニアなんていません。完璧だと思ったプログラムでもエラーは起きますから。

いまProgateをやっている子の話ですが、「できた!」を何回押してもエラーが続いて挫折しそうになっていたんです。でも、スライドを見たり、ヒントを見たり、答えと自分のコードを見比べたり、なんとかクリアしようと試行錯誤していました。もちろん答えをコピペしてクリアしようなんて思っていません。探究心で答えを見て、失敗と気付きが次につながって、次はできるぞ!と思わせてくれるんですよね。

Progateはプログラミングに対する能力だけじゃなく、物事に対する考え方や取り組む姿勢や行動など、非認知能力を育んでくれています。プログラミングも学べて、レジリエンスも鍛えることができて、自己肯定感や自己効力感も上がる。彼らにとっては、すごい財産になると思います。

「エンジニアになりたい!」、発達障害支援とプログラミングで人生の可能性が広がる子どもたち。

Q. 子どもたちの人生の可能性がプログラミングによって広がっているんですね。

はい。「自分は何をしてもだめだ」と自己肯定感が下がっている子たちが「エンジニアになりたい」と言って学習しています。得意を見つけることができたんです。僕にはこれがあると思えるものがあれば、生きていく糧になります。

一方で、将来のことを見つけることができていない障害を抱えている子が大勢います。僕たちはそういった子たちが自信を持って進める道具、得意を見つけて、伸ばしていくサポートをしていきたい。

この業界で働く人に関していうと、気持ちが強い人が多いんですね。療育や障害に対する専門的な知識よりも人と人との触れ合いが一番大事だと思っている人が多いんです。それで子どもが成長できるのであれば、それでいい。でも時代とともに知識は変わり、判明することも増えて、障害の内容ですら変わっていきます。そういった知識のアップデートをせずに「あの子たちがかわいそうだから、自分が助けてあげよう」、そんな強い思いだけでやっている人が多い。

頑張ればできる!という感情的なエールは、障害に対して時として無力です。彼らの困りごとやしんどさは努力不足からきているわけではありません。脳の機能障害であることを理解した上で、どういう方法があるのかを、携わる人たちがきちんと伝えていく必要があります。

僕たちは彼らの人生の可能性を広げるために、工夫して取り組んでいかなくてはいけません。プログラミング学習もその一つ。彼らの可能性を広げ、活躍するフィールドをより広くする一助になればと思っています。

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