「危機感を抱いた」プログラミング教育が必修化される時代
まずStudio Xedgeとは、どのような部署なのか教えてください。
Studio Xedgeでは、「とにかくやってみよう!」を合言葉にAI、ブロックチェーン、AR・VR、デジタルマーケティング、UXデザインなど、最新のトレンドを社員が学べる機会を提供しています。
岡野さんの業務内容についても教えてください。
社員が先端テクノロジーを学べる環境やコンテンツを提供するため、研修の企画・運営や発信活動をしています。直近では、私と同じような未経験の社員でも楽しくテクノロジーを学んでほしい!という想いで「AR体験ワークショップ」を新規企画し、講師を担当したこともあります。
また、これまで培ったノウハウを活かして、社外向けのプログラミングセミナーを企画・実施するなど、外部への価値提供も意識して実施しています。
講師も担当されていらっしゃるんですね。岡野さんは、まったくの未経験からStudio Xedgeに異動されたと伺いました。
そうです。それまでは長い期間、事務を担当していました。ただ、もともとプログラミングやAIといった先端テクノロジーには興味があったんですよね。
小学校や中学校、高校でもプログラミング教育が必修化される時代に、何も知らない、できないという状態はまずいなと。とはいえ、新たな領域にチャレンジするには勇気が出ず、なかなか一歩踏み出せずにいたのですが、異動がいいきっかけになりました。
成功体験がモチベーションを維持するための鍵

ゼロの状態からのスタートだったと。どのようにして知識やスキルを身につけていかれたのでしょうか?
最初は、プロトタイピングを活用する人財を育てる研修プログラムに参加することになり、テクノロジーを学び始めました。デジタル技術だけではなく、アウトプット手法や企画力などもあわせて学ぶカリキュラムで、とにかく実践を通して知識やスキルを身につけました。
LINEBotを活用して、保育園に通う息子のために「給食メニュー変換Bot」というものを作ったり、家族で共有できる買い物リストを自動生成するツールを作ったり。
期間中は、とにかく自分が作りたいと思ったプロダクトを企画・作成しながら、学んでいきました。作成したものをQiita上に発信して、たくさんの反応をいただいたこともあります。
▼岡野さんの作品
「ひらがな化API」を使って、給食メニュー変換Botを作ったら、わが子に大好評だった話 - Qiita
いきなりプロダクトを作っていたんですね。かなり難易度が高かったのではないでしょうか?
もちろん「もうわかんない!わぁー!!」みたいに思ったこともありましたよ(笑)。そういうときは社内の詳しい人に聞いて、助けてもらっていました。
プロダクトを作ると言っても、イチから全部自分でソースコードを書いていたわけではありません。インターネット上に公開されているソースコードを引用して、なんとか形にしていました。
右も左もわからない状態でしたが、「真似して作ってみたら動いた」みたいな成功体験が早いうちから積めて、それがすごく楽しかったんです。だから、モチベーションは維持できていましたね。
色々なものを作っていくなかで、「もっとこうしたい」という欲が出てきたので、それに合わせて必要になることをProgateで学ぶようにしていました。最近はPythonをProgateで学んでいます。
たしかに早いうちから成功体験を積めたら、学ぶのが楽しくなるように思います。
「給食メニュー変換Bot」はプログラムに参加し始めて2週間ぐらい経ったときに作ったものだったので、完成したときはやればできるものだなと思いましたね。「何もやったことがない私に何ができるんだろう」という不安が最初はあったのですが、色々なプロダクトを作る内に薄れていって。
技術は後からいくらでもついてくるなと実感しています。「まずプログラミング言語を学ぼう」と考える人が多いように感じますが、それよりも自分が作りたいプロダクトを見様見真似で作ってみるほうがいいのかなと。
未経験の人に成功体験を積んでもらえる機会を

まずはプロダクトを作ってみると。
私のように経験が全くない場合、「できない」と思いこんでしまう人は多いのではないかなと思います。だから「未経験でもできますよ」というのを伝えたくて、今社内で研修を企画・開催し、発信しています。
大げさかもしれないですが、実際やってみたら、世界が変わりました。一人でも多くの人に同じような経験をしてもらいたいです!
世界が変わった……。具体的には、どのような点に変化があったと感じていらっしゃいますか?
大きく2つあります。1つは新たなキャリアが開けたこと。事務を担当しているときには思い描いているキャリアの幅が狭かったんですよね。例えば、人事を経験したから次は総務とか、総務を経験したから次は経営企画とか。
プログラミングを含め先端テクノロジーに関することを学んで、事務を担当していた頃には全く想像していなかったキャリアを今歩めているなと感じています。
もう1つは、日常生活にテクノロジーの力を活かせるようになったこと。家族が不便に感じていることをテクノロジーを使って解決したり、自分の趣味のような感じでプロダクトを作ってみたり。
子どもの夏休みの自由研究で、Scratchというプログラミング言語を使って、一緒にゲームを作ったこともありましたね。
岡野さんのお話を伺っていると、本当に楽しく先端テクノロジーについて学ばれているのだなと感じます。
やはり最初に自分でプロダクトを作った経験が大きかったと思います。もちろん大変な部分もありましたが、あの楽しさをもう一度経験したくて、いまも学び続けているのかもしれません。
今後は、その楽しさを伝えていける人間になることが目標です。未経験の人に成功体験を積んでもらって、自分でも勉強するきっかけになるようにしていきたいですね。
自分が体験したことと同じような体験を人に与えたいと。
例えば、小学校に実際に出向いてプログラミングを教えに行った経験もあるのですが、初めてのプログラミング体験に目を輝かせている子どもたちを見て、とても嬉しくなりました。そのような新しい価値を提供したり、まだ世に出ていないプロダクトやサービス開発にチャレンジしたりとか。本当にやりたいことはたくさんありますね。
アイディア次第で、何でもできると思うので、自分の興味のあることにどんどん挑戦していきたいと思います。そんな私の姿を見て、「一緒にやりたい」という人が出てきたら嬉しいですね。