2023
07
21

ビジネスサイドにいるからできる「手触り感」のある分析

ビジネスサイドにいるからできる「手触り感」のある分析

コーヒー1杯から始まった学びの一歩

IT人材の不足や企業のDX化が叫ばれる近年、特にデジタルスキルに関する「リスキリング」の需要が高まっています。

迫り来る2029年問題への対応をはじめとして、会社としても個人としてもデジタルスキルの習得が求められる今、私たちはどのように「技術を活かせる人」を目指したら良いのでしょうか?

今回は、「データアナリティクス」「GASを活用した業務オペレーションの構築」といった部分で、プログラミングやデータ分析言語を活用している鎌田さんにお話を伺いました。

鎌田 麻以子(かまた まいこ)さん
株式会社ミーミル(ユーザベースグループ)プロダクトマネージャー

大学院修士課程修了後、研究員として日本電気株式会社(NEC)に入社。NEC在籍中、青年海外協力隊として2年間のホンジュラス赴任を経験。帰国後は新規事業開発に携わった後、クックパッド株式会社へ入社。クックパッド株式会社では、スペイン語コミュニティのグロースを担当。2021年7月よりマーケティングディレクターとして株式会社MIMIRにジョインし、2022年5月より現職。

株式会社ユーザベース

ユーザベースは、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げ、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」や、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」、価値ある知見の蓄積と流通を行うプラットフォーマー「ミーミル」などを運営しています。

( 会社URL:https://www.uzabase.com/jp/  )

この記事はこんな人にオススメ!
👌
  • 業務の自動化に興味がある
  • GASに興味がある
  • スプレッドシートを使っている
  • データを扱う業務に携わっている
目次

ビジネスとデータ、二足のわらじだからこそできる「手触り感」のあるデータ分析

まずは鎌田さんのご経歴と現在担当されている業務について教えてください。

2022年の5月から株式会社ミーミルでプロダクトマネージャーとして働いています。

元々、学生時代からモデリングや社会科学的なデータ分析などを行っていて、新卒で入社したNECでは研究員として実験解析関連の仕事をしていました。次に入社したクックパッドではスペイン語コミュニティのグロースを担当していたので、実施したコミュニティ施策の効果をデータで分析して振り返るという業務をしていました。

データアナリティクスに関わる業務に携わっていることが多いのですが、NEC時代に現職参加制度を利用して青年海外協力隊としての海外赴任や帰国後の新規事業開発、クックパッドではコンテンツ制作にも携わっていました。

データアナリストとビジネス職、まさに二足のわらじですね。データを見ていることでビジネスの視点も変わりますよね。

そうですね。データを見ていることで客観的に話ができるのはとてもいいことだなと思います。

でも、データしか見ていない場合「実際の現場はどのような状況なのか」「ユーザーさんの声はどうなのか」といった「現場の手触り感や質」を無視した分析結果になってしまうことも結構あるんです。

データが全てと考えるのではなくて、まずは現場の状況を誰よりも高い解像度で認識して、その上でデータで見るとどのような状況なのか、という順番で見ていくことで、より現場の状況に即した分析結果が得られるように意識しています。

プロダクトマネージャーになってからはエンジニアと一緒にプロダクトを作ることがメインの業務となりました。

例えば、エラーが発生した際にデータベースを見に行って問題のある箇所を特定するようなトラブルシューティングをすることもあるのですが、そういった際にもただエラーが発生したことをエンジニアに報告するだけではなくて、「ここまでは分かったのだけど、次はどうしたら良いか」といった問い合わせをするように心がけています。

データ分析でもプロダクト作りでも、ビジネスとエンジニアリングのどちらか一方に視点が偏らないように意識しています。

「やりたいことのイメージ」があるからこそ身につく、1杯のコーヒーから始まった学びの一歩

「現場の手触り感」、とても良い表現だなと思いました。鎌田さんが最初にエンジニアリングを学び始めたのはどのようなきっかけだったのでしょうか?

クックパッド時代、コミュニティやユーザのことを理解するためにデータ分析をしたいと考えていたのですが、分析するためのデータをどこから持ってくるのかなど、データ抽出のための手段を全く知らなかったんです。

そんな時にクックパッド時代の同僚がSQLを書いているのを見て、「こんなことができるんだ!」と衝撃を受けました。

それから、その同僚にコーヒーを奢ってSQLを書いてもらうようになったのですが、書いてもらったコードを見たり、アレンジを加えたりして「ここを変えれば結果がこう変わるんだ」という学びを徐々に得ていきました。

そうしているうちに自分でも一からSQLを書いてみようと思って、Progateで学習を始めたのが最初です。

今思えば、同僚に毎回コーヒーを奢るよりも初めからProgateで学習をしていた方が金銭的には安上がりだったかもしれません(笑)。

Progateを使ってくださっていたのですね!ありがとうございます。初めにデータ分析を学び始めてからこれまで、学習方法やモチベーション維持などで意識した点などはありますか?

Progateでは基本を学ぶことができましたが、実際にすぐに学んだことを試せる実務環境があったということは、学ぶ上で大きなアドバンテージになったと思います。

オンライン学習だけだと、知識としては一通り学ぶことができますが、題材としては興味がないデータを抽出したり加工したりといった内容が中心になってしまいます。

しかし、実務だと「このデータを出したい」といった具体的なイメージが持てます。幸いなことに私は同僚のエンジニアに質問したり相談したりすることもできたので、実際に書いたコードを見てもらって添削してもらったり、より良い書き方を教えてもらったりしながらトライ&エラーを繰り返すことができたんです。

ユーザベースでは、「誰もがエンジニアリングを楽しめる世界へ」というコンセプトであるPlay Engineeringという取り組みをしています。先日その一環として、社内で有志の人を集めてSQL講座を開く機会があったのですが、その時にも「実データを使う」「やりたいことのイメージを具体的に持つ」という2点を伝える、ということには特にこだわりました。

SQL講座の開催、とても素敵な取り組みですね!講座を開く際に心がけていることなどはありますか?

実データを使うこと、やりたいことのイメージを持ってもらう、の部分だとまずは最初の会で「SQLを学んで何をしたいのか」というイメージを持ってもらうことに時間を割いています。

実は私が学生だった頃にプログラミングの授業を受ける機会があったのですが、当時は全く興味が持てなくて、何をするためのものなのかもよく分からず、作りたいものもなくて身につきませんでした。

なんとなくSQLを書けるようになりたい、という意識だと学ぼうと思ってもなかなか身につきません。「これがやりたい!」という明確なイメージがあるからこそ、学びが強くなって自分の力として身についていくと思うんです。

ミーミルの場合、2017年創業と歴史が浅いため未整備な部分も多く、作る場所や工夫できる幅が広くあることも学びやすい環境になっていると思います。

他には、自分がつまずいたところはつまずかせないようにしてあげたいという想いもあります。私が学習する時も色々なところでつまずいたり、落とし穴のようなポイントに引っかかったりと大変だったので(笑)。

ただ、私自身も業務でSQLやGASをたくさん活用してはいるのですが、自分ができる立場だとは全く思っていないんです。むしろ、私が先生でいいのかなと思いながら試行錯誤しています。なので、講習会で教える立場になる時にも「初心者歴〇〇年」という表現をしていて、今も日々勉強したり調べたりしながら活用しているんだよ、ということを伝えるようにしています。

あとはこれから社内で学びたいと思った人がいつでも読めるようにドキュメントにまとめたり、私が欲しかったものを作って共有したりするようにしています。

プログラミングは一つの解決策、何かを学ぶことに年齢は関係ない

つまづいたポイントを伝えられることは、自分が苦労して学んできたからこそできることですね。これまでデータ分析などを学んできてよかったことや、特に記憶に残っている取り組みなどはありますか?

よかったことは問題の解決策の一つとして、ぱっとプログラミングを思い浮かべられるようになったことです。

ビジネス職の場合、コードをガツガツ書いていくような機会はあまりないですが、日常のちょっとした課題に対して、プログラミングを解決手段として使えることが一番の強みだと思います。

私はSQLの他にGAS(Google App Script)もよく使用するのですが、GASなら環境構築などをしなくても簡単にブラウのプラットフォーム上でコードを書いてスクリプトを動かすことができるので、エンジニアでなくても比較的簡単にシステムやオペレーションを構築することができます。

例えば、他部門から相談をもらって作成したオペレーションなのですが、スプレッドシートからテンプレートのスライドにデータを流し込んで綺麗なスライドを作成する、という仕組みをGASを使用して作成したことがあります。

それまではスプレッドシートに入っているデータをコピペして、スライド上で成型して誤字脱字チェックをして…と朝早くから作業をしてタスクをこなしていたとのことで、「これはなんとかしないと!」と思い、GASでのオペレーションを作りました。

最近だと、こちらも同僚からの相談を受けて作成したものなのですが、自動更新のスプレッドシートでシートの上限数を超えてしまってエラーになってしまったデータがあって。同僚はエラーが出るたびに手動でシートを消していたのですが、ネットで調べたらちょうどやりたいことに合致しているGASのコードが見つかったので、すぐに自動でシートを消してくれる仕組みにすることができました。

このように「それSQLで書いたら一発じゃん」「GASで自動化できそう」といった発想が一発でできることがデータ分析やプログラミングを学んだ一番のメリットだと思います。

確かに課題解決の手段が増えるのは業務の幅や視野が広がりそうですね!最後に、これからプログラミングやデータ分析を学ぶ方々に向けてメッセージをお願いします。

私もまだまだ学び途中の身なので偉そうなことは言えないのですが、やっぱり「これができたらいいな」というイメージがあるからこそ、学ぶ意義があると思います。

やりたいことのイメージが何もないと、せっかく学習してもなかなか身につきません。もし、「これができたら嬉しいな」というイメージがある人はぜひ学んでみてほしいです。

逆に、会社から言われて学ばざるをえない状況にあるような人は、まずはなんでもいいので「これができたらいいな」というものを見つけることから始めると良いのかなと思います。私の場合はSQLやGASがぴったりはまったのですが、あくまでもプログラミングは手段の一つなので、抱えている課題を解決できるならプログラミング以外の新しいツールや方法でもなんでもいいです。

ただ、これだけは伝えたい!というのは「何歳からでも学び始められる」ということ。何かを学ぶことに年齢は関係ありません。

私自身もSQLを学び始めたのは30代半ばでした。今でもまだまだ分からないことはたくさんありますが、毎日学びがあることはすごく楽しいと感じています。

何事も始めるのに遅すぎることはないので、どんどん新しいことを学んでいってほしいです!

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